対応可能な疾患・症状

神経ブロックの効果が見込め、受診対象としている疾患や症状を挙げています。

また受診対象としていない疾患・症状、また、受診先に関するアドバイスも参考にしてみて下さい。

対象疾患・症状

首が痛い、腰が痛いなど、頸椎、腰椎関連の痛みは神経ブロックが効果的です。

脊椎疾患(脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、頚椎症など)

整形外科が圧倒的に苦手な領域です。

脊椎疾患*は神経障害性痛(神経痛)を来す代表的疾患で,内服薬があまり効かない一方、神経ブロックは高い治療効果を発揮します。

背骨のことを脊椎と言います。脊椎は加齢とともに変形していきます。変形するから痛みが出るのではなく、中に入っている神経が影響を受けるために神経痛が出ます。

頸椎では主に首、肩甲部、腕に症状が出ます。腰椎では、お尻や太もも、ふくらはぎに痛みが出ます。

脊椎疾患* : 脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、頚椎症など。

腰の痛み・首の痛み(慢性腰痛、慢性頚部痛)

経過の長い腰痛や首の痛みの原因は複雑ですが,神経ブロックは血管拡張による血流増加作用があり組織の修復を促進させるため痛みの軽減効果があります。

 

ぎっくり腰(急性腰痛)

時には動けなくなってしまうような強い腰痛。
神経ブロックは治療効果が高く痛みの改善だけでなく治るのも早いです。
※ただし、高齢者が転倒後、痛みによって動けない場合、まず、考えるのは胸腰椎の圧迫骨折や大腿骨頸部骨折です。このケースでは必ず整形外科を受診して下さい。

頸肩腕症候群

首から肩にかけて、背中が痛い、重いなど慢性的にコリ、ハリや痛みが生じる状態です。程度の差はあれ多くの現代人がかかえています。
特にデスクワークの方に多い疾患で、若い方にも多いです。吐き気が出たり、頭痛が出てしまう人もいます。
レントゲンではストレートネックを指摘されていることが多いですが、MRIを撮っても異常がありません。

整形外科では、痛み止めや筋弛緩薬の内服、トリガーポイント注射、電気・温熱治療、マッサージ、運動指導に終わることが多いです。
こういった症状では、まず整形外科を受診して頂き、これらの治療で改善のない方は神経ブロックの良い適応となります。

むち打ち(外傷性頸部症候群)

MRIなどの画像検査で明らかな異常所見がなくても痛みが長く続く場合、神経ブロックの治療をお勧めいたします。

帯状疱疹による痛み

帯状疱疹の痛みに対しては後遺症をできるだけ残さないようにするため,神経ブロックの治療を発症初期から積極的に行っております。
発症から4-5ヶ月程度までは神経ブロックの効果があり、痛みや後遺症の軽減につながります。

※発症から半年以上過ぎている場合、神経ブロックの効果は望めず、受診対象としておりません。
医療機関で帯状疱疹と診断された方を受診対象としております。(紹介状はいりません。)
ご自身の症状が帯状疱疹かどうかわからない場合はまず、皮膚科を受診して下さい。

三叉神経痛

三叉神経痛に対しては神経ブロックに加え,*高周波熱凝固法(RF)を行える数少ない医療機関です。
*高周波熱凝固法(Radiofrequency Thermocoagulation : RF)
特殊な針を使用し 高周波電流を流して神経を熱凝固させる治療法

医療機関で三叉神経痛と診断された方を受診対象としております。(紹介状はいりません。)
ご自身の症状が三叉神経痛かどうかわからない場合はまず、お近くの医療機関を受診して下さい。

受診対象とならない疾患・症状

どんな症状でも神経ブロックの適応になるわけではありません。特に腫れや熱感がある急性の症状は原因の検索が重要です。

圧迫骨折による痛み

急性、慢性問わず圧迫骨折の痛みに対しては神経ブロックの適応にはなりません。椎体形成術(手術)の適応になりますので、治療が全く異なります。圧迫骨折後は1-2か月程度かけて潰れた骨が固まってきて痛みは軽減してきますが、骨が固まらずグラグラと不安定な場合はいつまででも痛みが続きます。神経ブロックを行っても一時的な痛み止めの効果しか得られません。椎体形成術はバルーンなどで潰れた骨を持ち上げ固定する手術ですが、圧迫骨折をする患者さんは骨粗鬆症の方であり、潰れた前後の骨も脆いため、治した部分が丈夫になることで前後の骨が圧迫骨折してしまうこともあります。手術を行うべきかどうかは担当の先生とよく話し合ったほうが良いでしょう。

胸痛・腹痛(胸部領域、腹部領域)

呼吸器疾患、心疾患、消化器疾患など内蔵疾患の可能性もあります。この領域はまず,原因の精査が第一ですので、神経ブロックは行いません。また、神経ブロックの適応になるような疾患はあまりありません。

「急に胸が痛い」、「ここ数週間胸が痛い」などの痛みはまず、原因の精査が必要です。内科の受診を必ずしましょう。

関節疾患、腱鞘炎

肩関節、肘、手首、指
膝関節、足首、足の指
五十肩や、変形性膝関節症などの関節疾患、腱鞘炎などはお近くの整形外科を受診して下さい。
これらの疾患に効果的な神経ブロックはなく、治療法は一般的なものになるため、診療は現在、行っておりません。

手そのものや肘から先の症状の場合、「手の外科」
足そのものや靴下の領域の症状は「足の外科」
などの受診も考慮されると良いと思います。

全身痛

フォーカスの絞れない全身の痛みは神経ブロック治療の適応になりません。

癌性疼痛に対する緩和医療

神経ブロックだけで解決するわけではありません。モルヒネなど医療用麻薬製剤の使用も重要になります。症状も痛みだけでないので、ある程度規模のある病院の方が治療には適しています。

頭痛

現在、新規受付は行なっておりません。

受診先に関するアドバイス

痛みがなかなかよくならないとき、
どこを受診すればいいの?
整形外科の次にいくべき科は?
など、どこを受診するべきかわからない時は参考にしてみて下さい。

どんな痛みでも整体、マッサージなどではなく、まずは医療機関を受診しましょう。

どのクリニックでも、その先生が何を専門にしているかで得意不得意があります。
ただ、整形外科領域の痛みは生命に関わる痛みではないので、何も言わないと延々と電気治療が続く場合があります。治療の見通しが悪いのに専門機関受診の話もなく、延々と電気治療が続く場合は医療機関を変えることも考えた方が良いでしょう。

日本では患者さんが自由に医療機関を選ぶことができます。保険診療の限り、どこでも医療費は同じです。医療は年々専門性を増し、細分化されています。専門クリニックも増えてきており、大病院以外でも専門性の高い医療を受けられるようになってきています。

医療機関は患者さんが探して、選ぶ、時代になっています。

手の領域(肘から先、手そのものや、指)

手、指は解剖的に複雑です。腱鞘炎や手根管症候群など保存療法で無理ならば手術をしなくてはならないこともあります。
通っているクリニックで解決しなければ、「手の外科」のある医療機関の受診をお勧めいたします。
バネ指でステロイドの注射を繰り返している方は、腱が断裂することがありますので、腱鞘切開の手術を考慮しないといけません。施設が手術に対応していないと注射の繰り返しになる可能性があり注意が必要です。

足の領域(足首から先、足そのものや足趾)

外反母趾など足趾の変形、扁平足などの縦横アーチの開き、足の甲の痛みの原因となるリスフラン関節症、足底の痛みになる足底筋膜炎など足の領域は非常に専門性の高い分野です。歩行の仕方や靴などによる障害も多く、治療には忍耐と時間を要します。装具が必要となったり手術が必要なこともあります。電気治療だけでは難しいと思います。

変形が強い場合は手術をした方が良いことも多いです。

なかなか解決しない時は「足の外科」の受診をお勧めいたします。

変形性膝関節症

ある程度までは痛み止め(NSAIDs)、トラマドールなどの弱オピオイドでコントロールできますが、これらを最大量服用しても痛みが辛いようなら手術を考慮した方が良いです。ほとんどが太った女性、食べることが大好きな方達に対し、食事指導や運動指導は効果がありません。また、痛いと運動できません。

膝は全体重がかかるところであり、痛みが強いと活動性が低下します。人工関節置換術は技術的にも安定しており、いたずらに手術を避けることはマイナスです。活動性の高い方は80代でも受ける方はいます。逆にいくら若くても寝たきりの人は適応がありません。60代後半から80歳くらいまでの1人で外に出かけられる年齢では手術をするのが良いと思います。内服薬やヒアルロン酸などの注射を長期行なっても痛みが改善しない方は、人工関節術を行なっている施設に紹介してもらい、手術について話を聞いた方が良いでしょう。

スポーツ障害(主に関節障害)

同じ肩の痛みでもお年寄りの痛みとアスリートの痛みでは原因も治療も異なります。また、アスリートの治療やリハビリテーションはパフォーマンスを意識したものでなくてはなりません。野球肘のスクリーニングには超音波検査が必須です。投球セーブなど休止期間が必要になることもあります。肩板断裂は再建手術が必要なこともあります。治療の見通しが悪く、延々と電気治療が続く場合には「スポーツ整形」の受診をお勧めいたします。

脊椎疾患

椎間板ヘルニア や脊柱管狭窄症など、当院が専門としている領域です。

内服薬があまり効かず、痛みの程度によっては最初から神経ブロックをした方が良いです。整形外科では神経ブロックができないため延々と電気治療になります。ペインクリニックを受診した方が良いでしょう。ただし、脊椎疾患は手術が必要となることもあります。ペインクリニックの医師は麻酔科医が多いですが、整形外科領域の知識がない先生も多いです。その先生の判断を聞き、納得できないなら脊椎外科を受診した方が良いでしょう。

巻き爪、陥入爪

皮膚科にいかれる方が多いですが、ワイヤー固定 や部分抜爪などの処置が必要になることも多々あります。受診は「形成外科」が良いでしょう。皮膚科ではこういった処置に対応していないと延々と軟膏や抗生剤が出るだけです。

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TEL:048-650-1717