頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニア首の部分の背骨である頸椎は7つが縦に積み重なっています。上から順に第一頸椎、第二頸椎となり、間にはクッションとなる椎間板があります。椎間板は弾力性がある組織ですが、壊れてしまうと中身が飛び出して脊髄や神経根を圧迫して痛みなどの症状を起こすことがあります。これが椎間板ヘルニアで、首の部分に起こるものを頸椎椎間板ヘルニアと呼びます。
頸椎腰椎椎間板ヘルニアは腰に生じる腰椎椎間板ヘルニアと発症のメカニズムは共通していますが、症状や治療内容、治療の難易度が異なります。

原因

原因加齢などによる椎間板機能の低下が主な原因です。近年はパソコンやスマートフォンが普及して、首が前に出ているスマホネック(クレーンネック・ストレートネック)を起こし、それによって頸椎椎間板ヘルニアなどの頸椎障害を起こす方が増加しています。椎間板は常に圧力を受けているため老化しやすく、ダメージを受けやすい部分です。劣化が進むと椎間板を包む膜に亀裂が生じ、中の髄核が飛び出して神経を圧迫し、頸椎椎間板ヘルニアを起こします。

症状

首や肩の鈍い痛みが起こり、左右どちらかの肩や手に激しい痛みを起こすタイプと、両手や下肢にまでしびれや脱力といった症状が広がるタイプに分けられます。初期や中期には保存的療法による治療を行いますが、後期まで進行してしまうと日常生活に支障が出るため手術が必要になります。手術は半月程度の入院が必要になりますし、リハビリなどで術後も数ヶ月から1年程度の治療が必要になります。できるだけ早く痛みなどの症状を抑えて、安静を保ち、適切な治療を受けることが重要です。

左右どちらかの肩や手に激しい痛みを起こすタイプ

首を寝違えた時のような後頸部の違和感や痛みが生じます。
その後、特定の部位に激しい痛みや放散痛を起こし、しびれをともなう場合もあります。
激しい痛みが数週間続いた後は、鈍い痛みやしびれを残し、次第に解消するという経過をとることが多くなっています。

両手や下肢にまでしびれや脱力といった症状が広がるタイプ

両手のしびれや、箸をうまく使えない・ボタンをかけられないなど両手を使う細かい作業である巧緻運動がうまくできなくなることがあります。
足にもしびれを生じるようになり、歩くとふらつく、転びやすいなどの症状を起こします。
こうした症状の進行が、数日といった短い期間に起こることもあります。

初期症状

首や肩などに違和感や鈍痛が起こります。安静にしていると解消します。この時点で受診することで、比較的短期間に症状を改善することができます。

中期症状

痛みやしびれなどが現れはじめます。一般的には、痛み止めによる治療、リハビリによる筋肉強化や血行改善、安静などの治療を数週間行います。

後期症状

日常生活に支障が現れはじめ、手術が必要になります。2週間程度の入院、退院後も数ヶ月から1年程度、治療やリハビリを続けます。

診断・検査

X線撮影、脊髄造影、CT検査、MRI検査などを行います。椎間板の状態を確かめるためにはMRI検査が不可欠であり、MRI検査によって確定診断が可能になります。

治療

治療進行が早いケースが多いため、両手足などの症状がある場合には早めに手術を検討します。手術が必要ない段階の場合には、保存療法を行います。理学的療法もありますが、これは悪化につながる可能性もあるため慎重な治療が必要になります。痛みの解消にはペインクリニックの神経ブロックが有効です。神経ブロックは痛みを抑えるだけでなく、痛みを起こす悪循環を遮断する効果も期待できます。また、血行が改善されて抗炎症効果を得られるため、痛みの早い軽減が見込めます。症状の内容に応じて筋弛緩剤、消炎鎮痛剤、ビタミンB剤などが処方されることもあります。

神経ブロック

いくつかの種類の神経ブロックによる治療が可能です。症状が軽い場合や最初の治療では星状神経節ブロックを行い、症状が治まらない場合には、腕神経叢ブロック、神経根ブロックを行います。当院では細い注射針を使用して痛みを最小限に抑える治療を行っています。また、X線透視下・超音波ガイド下での神経ブロックなど、安全性や確実性の高い治療を行っています。
頸椎椎間板ヘルニアは、腰椎に比べて荷重が少ないため、神経ブロックの効果が出やすい傾向があります。ただし、飛び出した椎間板によって脊髄が圧迫されている場合には、手術が必要になります。

星状神経節ブロック

首の交感神経が集まった場所に局所麻酔薬を注入して、交感神経の緊張を抑えることで痛みの悪循環を起こさないようにします。痛みを起こしている周囲の血行が改善して炎症が治まることで、痛みが軽減します。12.5.3 腕神経叢ブロック

局所麻酔を行った上で神経ブロックを行います。首・肩・腕につながる神経の束が集まった鎖骨の少し上に麻酔薬を注入して痛みを解消します。X線透視下で神経に直接触れないように注入するため、治療による痛みもほとんどありません。

神経根ブロック

上記の治療で改善できない場合に行います。痛みを生じている神経根に直接麻酔薬を注入して神経の炎症を抑えるため、神経根が圧迫されて痛みを起こしているケースではこの治療で改善できるケースが多くなっています。X線透視下でリアルタイムに針先の組織を確認しながら、経験豊富な麻酔科指導医・専門医の院長が長年培った高度な手法を使って行うため、治療による痛みも最小限に抑えられます。

手術療法

脊髄に対する圧迫によって症状を起こしている場合、手術が必要です。脊髄への圧迫を解消して、頸椎を固定することを目的にした手術です。基本的に頸椎前方到達法が行われます。全身麻酔下の手術で、手術用顕微鏡を用いて慎重に行われます。下頸部左右どちらかの皮膚を切開して、気管と食道を正中に引き寄せて頸椎前面の1部を削り、脊髄に対する圧迫を除去します。できた空間には骨の移植や人工物を入れて、排液用のドレナージを留置して手術が終了します。前方固定術、内視鏡下ヘルニア摘出術(MED)、顕微鏡下ヘルニア摘出術(MIS)、椎体固定術などが行われるケースもあります。
当院では手術が必要な患者様には、連携治療を行っている高度医療機関をご紹介し、スムーズに適切な治療を受けられるようサポートしています。

TOPへ戻る
TEL:048-650-1717